日本人はなぜ乳がん検診を受けない?
Vol.1 日本人は何故乳がん検診を受けない?
今日マインズ先生のところに相談に来たのは、39歳のパートタイムで働くあゆみさん。
小学生と幼稚園の子どもさんがいます。
乳がん検診は初めてで、いろいろと不安や疑問があるようですよ。
日本人に乳がんが増加中!乳がん検診を受けたほうがいい理由
マインズ先生、私もうすぐ40歳になるんですけど、まだ一度も乳がん検診を受けたことが無いんです。
乳がん検診って、必ず受けなきゃいけないんでしょうか?
そうね、乳がん検診は義務ではないの。
でも、乳がんにかかりやすくなる40歳以上の女性は2年に1度、乳がん検診を受診することが望ましいのよ。
それに、20~30代でも乳がんにかかる人はいるから、気になることがあれば検査してもらうといいわね。
日本では、乳がんになる人は多いんですか?
実は、女性の30~64歳での死亡原因のトップが乳がん(※1)なのよ。
日本では乳がんが増えていて、35年前と比べると乳がんで亡くなる女性は3倍以上にもなっているわ。
欧米では検診受診率が上がって、早期発見できる人が増え、死亡率も減ってきている。
なのに、日本では50~69歳で乳がん検診を受けている人の割合は41%しかないそうよ。
乳がんによる死亡推移
各国の乳がん検診受診率
私、母が乳がんにかかったことがあるんです。
母は、私も乳がんになりやすいかもしれないから乳がん検診受けなさいって言うんですけど・・・。
家族に乳がんにかかったことがある人がいたら確かに要注意だわね。
他にも乳がんにかかりやすいといわれているのは次のような人よ。
- 未婚の人
- 出産経験のない人
- 初経が11歳以前の人
- 閉経が55歳以降の人
でも、乳がんにかかるリスクは誰にでもあるから、これらに当てはまらなくても気をつけないとね。
乳がん検診を受けない理由とは?
私の友達は、自分でチェックしているから受けないって言っていました。
セルフチェックしていたら、乳がん検診受けなくても大丈夫ですか?
セルフチェックはとっても大切よ。
でも、セルフチェックでも気付かない場合もあるから、乳がん検診は受けたほうがいいわね。
乳がん検診を受けるのは自分で自分の命を守るため。それなのに、どうして受けないのかしら?
時間が取れないんです。
私、パートのフルタイム勤務で。家に帰れば小学生と幼稚園の子どもがいて大忙しだし。
女性は仕事でも家庭でも多くの役割を担っている人が多くて、大変よね。
でも、マンモグラフィーと問診なら1時間程度なのよ。予約して行くから待ち時間も少なくてすむわ。
あと、マンモグラフィーって痛いんじゃないかと不安で。
ちょっと恥ずかしいっていうのもあります。
なるほど。人によって痛みの感じ方が違うから、絶対に痛くないとは言えないけど、痛みを感じない人もいるし、5秒ほどで終わる簡単な検査よ。
それに、最近のマンモグラフィーは痛みが少なくなるよう工夫されているの。
女性の医師やレントゲン技師がいる病院もたくさんあるから、恥ずかしがらずにまずは一度検診を受けてみることをおすすめするわ。
放射線を受けるけど大丈夫でしょうか?
マンモグラフィーで1枚撮影するのに受ける放射線の量は、東京とニューヨークを飛行機で往復したときに受ける自然放射線量と変わらない(※2)から、そんなに心配いらないわ。
すべての乳がんが見つかるわけじゃないとか、有効性を疑問視する声も聴いたことがあります。
マンモグラフィーで見つけにくい乳がんがあるのも確かね。
でも、定期的に検診を受けることで、放っておいたら命にかかわるような乳がんが見つかる可能性は高くなる。
それに、超音波検査と併用することで精度を上げることは可能なの。
気になる乳がん検診の検査料金はいくら?
先生のお話を聞いて、乳がん検診受けてみようかなって気になりました。
でも、もし何か発見されたらと思うと怖いですね。
乳がんは早期発見できれば95%以上が治るといわれている(※3)わ。
むしろ、検診を受けずにいて発見が遅れる方が怖いのよ。
検査は保険がきかないんですよね?
検査料金って高いんじゃないですか?
マンモグラフィー検査と問診だと、だいたい1万円前後で受けられるところが多いわ。
それに、会社が実施する検診や自治体が助成してくれる制度を使えば、無料か数千円ほどで受けられのよ。
マインズ先生のまとめ
乳がん検診についてのポイントをまとめてみましょう。
- 乳がんは早期発見なら治癒可能なので定期的な検診が何より大切
- 近年は検査の痛みが少ない装置も増えている
- 検査は女性の医師や技師が担当
- 検診時間は1時間半ほど
- 費用は1万円前後、会社や自治体検診なら低負担
不安や疑問は遠慮せずに相談したり、質問したりしてくださいね。
あなたの命を守るため、ぜひ乳がん検診を受けましょう。
乳腺ドックの詳しい情報はこちら
次回は、「乳房のタイプや年齢でマッチした検診を受けよう」をお届けします。お楽しみに!
※1 参考 厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
※1 参考 国立がんセンター「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2017年)」
※2 参考 環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料「診断で受ける放射線量」「自然・人工放射線からの被ばく線量」
※2 参考 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン
※3 参考 全がん協部位別臨床病期別10年生存率(2002年~2005年)